第一回 雑貨のMD 「9:マーチャンダイジングシステム」

では、マーチャンダイジングシステムについてコーディネイター/バイヤ−それぞれの役割をみていきましょう。今回も、自著『お仕事クリエイター』から引用します。

 

1:MD(マーチャンダイジング)とは

 

[merchandising] 1)商品・サービスを需要動向に合わせて、適当な場所・時期・数量・価格で販売するのに必要な一切の活動。 2)製品計画あるいは商品計画。 3)商人の仕入れ、商品調達活動。 4)メーカーや商人の販売活動の総称。 (岩波書店 広辞苑より)

 

つまり、ビジネスにおける本質的要素です。
マーケティング[marketing](商品の販売やサービスなどを促進するための活動)という言葉がありますが、これをより詳しく定義した言葉です。

 

上の1)商品・サービスを需要動向に合わせて、適当な場所・時期・数量・価格で販売するのに必要な一切の活動。の内で、需要動向を調べ、適当な場所を見つけたり時期を判断したり、数量や価格決定のための情報を収集し分析するのがコーディネイターの仕事

また、その分析結果より売場に合わせて商品・展開時期・数量・価格を決定し、仕入れをするのがバイヤーの仕事です。

また、コーディネイターは販売員教育、バイヤーは利益確保のための販売活動支援(値下げ決定など)をします。バイヤーの仕事は、MDシステムの中において利益を出すための最も重要な位置をしめる仕事です。

 

2:コーディネイターの仕事

 

A) ディレクション(バイヤーとの関係)

コーディネイターの仕事を簡単に説明すれば、バイヤー・販売員に対する情報の整理と提案です。マーチャンダイジングシステムの中でコーディネイターの責任は、
 
⒜ ショップイメージ・顧客・ショップの方針に合わせたトレンドの評価
⒝ 市場の流れ(次の流行予測と現流行の終息時期予測)に合わせた情報の整理と提案
⒞ 以上を自社(担当ショップ)で取扱う商品全体について関連づけ、整理提案
 
となります。

 

次にコーディネイターとバイヤーの仕事の流れについてみてみます。

日本にはほぼ全域に明確な四季があります。このため、四季に合わせた商品の構成が必要となります。大きくは春夏シーズン/秋冬シーズンの2シーズン区分となりますが、細かく分けると2〜3月の春物、4〜5月の初夏、6〜7月の夏物、8〜9月の初秋、10〜11月の秋物、12〜1月の冬物の6シーズンです。これに季末のセールや卒業入学シーズン、年末シーズンなど間にイベント的なシーズンが関わってきます。

各々のシーズンに導入期〜実売期〜処分期があるので、生鮮品の様な取扱が必要です。売れ残り品の処分は多大なロスを生じますの
で、コーディネイター・バイヤーが共に協力して、導入〜値下げのタイミングを頭に入れ、行動しなければなりません。

また、売るタイミングは、消費者の買うタイミングより少し前を行っておかなければなりません。早過ぎても売れませんし、実需期ですと他店への顧客の流出となってしまいます。

 

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図の説明

先ずコーディネイターにより次シーズンのディレクションがまとめられます。まとまったらバイヤーへのプレゼンテーションがあり、それに基づきバイヤーは品揃え方針を立てます。その品揃え方針に沿って展示会での発注業務を行います。

また、実売期直前にコーディネイターにより販売員へのトレンド説明・コーディネイト提案が行われます。
では、今回はここまで。次回はディレクションのまとめ方についてみていきます。

 

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