第一回 雑貨のMD 「11:マーチャンダイジングシステム」

今回も引き続きコーディネイターがおこなうディレクションのまとめ方の中で、クラスター分析についてみていきます。今回も、『お仕事クリエイター』からの引用です。

 

2:コーディネイターの仕事

B)ディレクションのまとめ方

ロ)ディレクションのまとめ方

先のクラスター分析で顧客層の特定・マーケットの絞り込みが出来たら、次はターゲット分析表を作成して、顧客ターゲットのライフスタイルやファッションがどのようなものなのかを分析します。
ターゲット分析表は、以下の様な項目で作成します。

 

イメージモデル 対 象 年 令 ジュニア                   % 着こなし/感度 5 4 3 2 1
ヤング            % M

ライフスタイル志向 アダルト           % E

ミッシー           % C

ミセス            % M=マニッシュ/クラシック

E=エレガンス/フェミニン

C=カジュアル/スポーティ

  〜  歳・中心年令   歳
ライフスタイル

/消費者特徴

プライスゾーン ベター              %
セミベター            %
ボリューム            %
チープ              %
ファッション志向 オケージョン フォーマル        % モデル店鋪
オフィシャル       %
カジュアル       %

 

1) イメージモデルの設定
  狙うターゲット消費者の特徴を持ち、イメージがピッタリはまるような著名人を設定する。
 
2) ライフスタイル志向を分析
  ターゲットの生活全般に関する動向、意識や行動の変化を読み、新しい生活意識に付いてまとめる。
 
3) ファッション志向を分析
  ターゲットのファッション意識の変化を、着こなし方や流行の取入れ方などについてまとめる。
 
4) 対象年令の設定
  主要年齢層の明確化。どのゾーンが顧客として多いかを割合で明確にする。
 
5) 消費者特徴
  ターゲットの生活感・価値観・構成人種など、元来もちあわせている全般特徴をまとめる。
 
6) オケージョン分析
  ターゲットの生活の中でどの場面が中心となっているか、フォーマル(公式な場)・オフィシャル(職場や学校等社会的な場面)・カジュアル(プライベート、日常)の割合を明確にする。
 
7) 着こなし・感度分析
  ターゲットの着こなし、感覚とその感度についてその割合を明確にする。感度は5が最高感度。
 
8) プライスゾーンの設定
  ターゲットがもっとも購買しやすいプライスゾーンを分析し、その割合で明確化する。目安としてベターゾーンは高級、セミベターはちょっと高級、ボリュームは当てはまる商品の一般的な値段、チープは量販店価格と考えて割合を出す。

 

以上の様な項目別にシーズン毎に分析し、狙うべきターゲット像を明確化していきます。
 これ以外にライフスタイルやファッション志向の変化や推移を読み取る上で、重要な資料となるものがあります。それはターゲット層に向けた雑誌や、実際に市場へ出て見かけるターゲット層の分析です。
 特に雑誌には、ターゲットの志向をコントロールする力を持った媒体が存在し、また、雑誌と連係したTV番組やミュージシャン、一般消費財や映画・音楽のプロモーション等できわだった流行が生れる事もあります。
日頃からターゲット層の嗜好や興味に関心を持ち、常に情報収集と分析を続ける事が重要です。

 

ハ)テーマ分析

 ファッション小売業は、消費者に向け常に新しいファッションを提案し続けなければなりません。そのため、コーディネイターの職務の中で、次期シーズンのファッショントレンド分析は、非常に重要な仕事となります。
 時期シーズンへ向けて、マーケットに対してどのようなイメージを提案していくか。ターゲット分析の2)で分析したターゲットのライフスタイル志向等も含めながら、トレンド・スタイリングについてのテーマを分析していきます。ここではトレンドテーマについて見てみます。
 これは、自店・自社の方向性を示唆する重要な事柄で、過去から継続した流れやテーマに沿った一貫性も求められます。

 

トレンド・テーマ分析
 トレンド・テーマ分析は、まずトレンド情報分析からスタートします。 
 コーディネイターは、次期シーズンに何が登場するか何が流行るかを、約1年前に予測しなければなりません。トレンド情報とは、一見無秩序に見える、ファッションの本流・支流を大きくとらえ、その方向性や傾向のことをさします。

 

トレンド情報分析
 ファッションの情報は、海外のテキスタイル展(インターストッフやプルミエールビジョンなど)や情報会社の発行物、パリ・ミラノ・ニューヨー・東京等のコレクション、そして国内の素材展・メーカーの展示会などがあります。これらは、まとめられた情報として入手出来ます。
 ファッション雑誌の中の情報には、今現在の流れをメインに、無くなりつつあるものや増えていく情報がありますので、複数の雑誌を継続的に見て流れをつかむ事が大切です。
 また、テレビドラマや日々のニュース、街に集まる人々の行動やスタイルにこそ、生きて隠れた情報があります。伝えられる情報の中に隠された本質的な事柄を捕らえる感覚が大切です。

 

 コーディネイターは、これらの情報を集め整理して、資料として活用出来るようにまとめていかなければなりません。この場合に自分の好き嫌いは関係なく、あくまでも客観的に情報を判断しまとめていかなければなりません。
 トレンド情報分析は、
1) 全体的なファッショントレンド傾向の的確な把握、
2) テーマ分析におけるテーマの登場背景と要因などの裏付け、
を目的とします。

 

 では、次にトレンド情報分析の方法を見てみます。
 ファッション以外の目的をお持ちの方は「ちょっと関係ない」と思われるかもしれませんが、色々な種類の雑貨や飲食店などにも、大きな流行、社会的な流れがあります。
ファッションの手法を学ぶ中から、あなたの業種に合った方法を考えてみて下さい。

 

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