第一回 雑貨のMD 「12:マーチャンダイジングシステム」
トレンド情報分析方法
1) カラー傾向分析
2) 素材傾向分析 ・ファブリック傾向 ・パターン(柄)傾向
3) シルエット傾向
これらの傾向を分析していきます。どれも漠然とした傾向分析なので、前シーズン・今シーズンと比較しながら分析します。
1) カラー傾向分析
新しく台頭しつつあるファッションの中から、どのカラーイメージが登場してくるかを、感覚的な表現で分析(明るく爽やかなど)。
2) 素材傾向分析
・ ファブリック傾向:風合いや視覚的・感覚的表現の変化をとらえる。(シャリ感のある、ソフトななど)
・パターン傾向:感覚的なパターン・タイプ分類で注目される柄感を表現する。(マリンタイプなど)
3) シルエット傾向
注目すべきシルエットをピックアップし、感覚的な表現から、具体的にどのようなラインかをビジュアル化していく。
以上の傾向を分析し、ビジュアル的に解りやすくまとめます(テーマごとにビジュアルマップを作製します)。
トレンド・テーマ分析例
トレンド・テーマ |
テーマ・イメージ |
カラー・イメージ |
素材イメージ |
ユーロ・ トラッド |
ヨーロピアンベーシックトラッド、ニューベーシックの継承、ユニフォームの機能性、クール&ソフト | 綺麗な澄んだニュートラルカラーから、洗練されたグレイッシュパステル | クールウール、ライトリネン、繊細でしなやかなタッチ |
フレッシュ・ ナイーブ |
純粋、生き生きとした、艶やか、無邪気、生来のセクシーさ、あどけなさ、50`s〜60`sのパリジェンヌのカジュアルスタイル | 明るく艶やかなライトパステル〜ブライトカラーのバリエーション | 清潔感のある高級綿、ブロード、キャラコ、ギンガム、フローラルプリント |
プライマリー・ ビーチ |
活動的でエネルギーに満ちたテーマ、はじけるような輝く太陽、爽やかな潮風、パラソルの陰を彩るグラフィック、ビーチマリン | 元気で軽快なビビッド系。白とビビッドのバイカラー使い | 機能的なファインジャージー、リブ、ピケ、リップルなどの表面効果タイプ。大小ボーダーマリン調パターン |
ライト・ エコロジー |
片田舎、田園、ピクニック、野原、有名小説のヒロインのような品位があってどこか謎めいたスタイルワーク、フォーク調 | 優しさ、自然なイメージのライトナチュラル、白からベージュのバリエーション | 軽やかな綿、麻などの天然素材。リバティプリント、先染めチェック&ストライプ
|
トレンドテーマ・スタイリングテーマ分析方法(次ページ参照)
トレンド情報分析から、次期シーズンへ向けてのトレンドの方向性を大きくつかんだ上で、自店・自社の新しいトレンドテーマを選定していきます。
トレンド情報分析の結果から、まずファッショントレンドの大きな流れをとらえます。クラッシックな方向へ進んでいるとか、活動的でスポーティーな方向といったふうに、全体的傾向としてとらえます。
この時点では具体的な商品ではなく、イメージとしてつかんでおく事が重要です。また、このイメージは、たいていは複数のトレンドイメージが出てきます。
次に、先に取上げた自社(自店)の「ターゲット分析」の中からファッション志向・ライフスタイル志向分析を活用し、選定します。
例)ターゲット分析表のファッション・ライフスタイル志向:オーソドックスだが上質
な物を好み、ゆっくりとした時間を大切にする自然派志向。
トレンド情報分析:懐古調。ゆったりとしたシルエットの天然素材。
以上の分析結果にターゲット:OL層だと仮定してトレンドテーマを選定するとしたら、「牧歌的でのんびり落ち着いたイメージ」や「クラッシックリッチな休日」等といったまとめ方をします。
これらは、自店・自社の商品のメインオケージョン(どういう場で使用される物か)や立地等によっても変わってくるので、他店との差別化戦略等も含めながらじゅうぶんに吟味する必要があります。
以上の分析結果は、毎シーズン一つだけではなく、必要に応じてサブシーズンや複数(自店の規模や扱い商品群により)選定する場合もあります。
これを元に、各々のマップを作成し、スタイリングのイメージ・カラー・素材・シルエット・アイテムを盛り込んだスタイリングテーマ分析表を作成します。
以上がコーディネイターとしての主な職務です。ここからこれらの分析結果をバイヤーに引き継ぎ、また、販売員教育・セールスプロモーションと連動させ、自社のイメージと売上げを最高位へ高めるための努力が必要となります。
これはコーディネイターがまとめるスタイリング・テーマ分析の事例です。
ファッション専門店での内容ですので難解な表現や言葉がありますが、おおまかにどのような事を伝えているかを把握して下さい。
写真は白黒で見えにくいですが、雑誌の当てはまる雰囲気の写真等を貼付けて、ビジュアル的に表現すると、見る人に分かってもらいやすくなります。
これはビジュアルマップという一つの表現手法ですので、ファッションだけでなく色々な場合に応用が出来ますので、ぜひ活用して下さい。
では、次回からバイヤーの仕事についてみていきましょう。
本コンテンツは、ピーアールオーから提供されたものであり、著作権は同社に帰属します