第一回 雑貨のMD 「4:ファッション系雑貨の企画」
こんにちは。
今、この記事を書いているのはゴールデンウィーク真ただ中、5月4日です。
この時期、アパレルの企画は秋冬モノの仕上に向かっている頃ですね。
SPA型のブランドなら、連休が明けてセール期間までの商材追加を考えないといけませんね。
昔、携わっていた欧州からのインポーター業界は、今の時期はセール準備が始まり、6月に入ると7月に行く来春夏シーズンの仕入の下準備に取掛かっていました。一年以上前に翌年の企画を考える、のんびりした時代でした。POSの出現以来、商品企画がどんどん実売時期に近づき、慌ただしくなりましたね。
同じアパレル業界でも、業態によって商品企画の進め方は様々です。
では今回は、ファッション雑貨の企画〜その2として、実際に私が携わったファッション系雑貨企画の進め方について、事例をお話しします。
【インポーター】(輸入専業卸)
輸入ビジネスにおいて、商材発掘の一番ポピュラーなやりかたは、海外の展示会での商品発掘です。
日本でも東京ビッグサイトはじめ、幕張メッセやインテックス大阪、その他各地の展示会場で、様々な催しが開催されます。
同じように、海外でも展示会が開催されていますが、やはりそれぞれの国にとって強いカテゴリーというものがあります。
例えば、靴やバッグ類ならイタリアの『Mipel』(イタリア皮革・準皮革製品製造業協会が主催するバッグ・皮革小物の見本市)が有名です。
これと同じようなカテゴリーの展示会は世界各国で開催されますが、業界をリードするブランドは、実はそのシーズンで一番最後に開催される展示会まで、目玉のデザインは出さなかったりします。理由は、「スパイが来て、翌週に他の国で開催される展示会にはコピー商品が出回るから」。
たくましいと言うか、油断も隙もない世の中です。
様々な雑貨が展示される『Gift Show』は、日本を始め様々な国で開催されますが、それぞれお国柄を反映した出展業者が集まります。
他にも、ゲームの展示会(今では日本のゲーム会社の独壇場ですが、30年ほど前だと卓上ゲームなどの業者が多く、お国柄に合わせたゲームがあって見ていて楽しかったです)、ベビー用品の展示会、など、大規模なものやホテルの部屋を使った小規模のものまで様々な展示会が開催されています。
展示会での留意点は、行く前にそれぞれの展示会へどのような目的を持って、何を探すのか、どれ位の品数を探すのか、を決めておくことです。
何ぶん、大規模な展示会だと、一通り見て回るだけで一日がかりですので、きちんとポイントを押さえた仕入が出来るように、事前の準備をして下さい。
【アパレル雑貨】
以前、商品を納めていた某SPAブランド、全国に70店舗ほどあるストアブランドでした。主力のアパレル商材は自社企画でやっていましたが、変化の激しい雑貨類は、我々のような出入り業者から仕入れていました。
そこでは、「売上げを上げることが一番」だったので、バイヤーの「今、これが欲しい」という情報を元に、いかに早く、いかに売りやすい価格で、提示出来るか? が成否を分けていました。
コンセプトもコロコロ変わります。「今はこれ」と雑誌の切り抜きを出され、同じようなテイストで、ショップのターゲットに合う価格・品質の物を工場を探して作るか、既製品を探してくるか(韓国や中国などから安い既製品を探す)。
納品後は一週間単位で売れた数と店頭在庫の数が示され、売れ行きが良ければすぐに追加発注、売れなくなればそれまで、という非常に目まぐるしい商品企画をしなければ、あっという間に他の業者へという過酷な競争がありました。
これは「今売れ筋の旬の商品を販売する」というショップのコンセプトからくるもので、デザイナー系などのアパレルの商品企画とは一線を画します。
【キャラクター雑貨】
ここで言うキャラクター雑貨とは、私が総合プロデュースしたベスパショップで、ショップのオリジナルで作ったキャラクターと、それの関連雑貨の企画です。
この場合のキャラクターの目的は、「ベスパを女性に売る」ために、若い女性をお店に連れてくるためのキャラクターでした。
ベスパショップなので、ベスパに関連させて「ベスパでブラッと日帰り旅行」ということをコンセプトに、商品の企画をしていきました。
当初想定した売り場は、東急ハンズ(全国展開が可能)で、少々ボーイッシュなイメージのファッション雑貨で商品構成し、それにキャラクターをのせて企画を進めました。
見込み通り、最初のギフトショウ出展で東急ハンズとの取引が始まりましたが、それ以外に原宿ラフォーレの姉妹ビルフォレットでの季節ごとのイベント、新宿高野さんでのイベント、香港のセレクトショップへの輸出、難波高島屋の父の日イベント、大丸梅田・大丸神戸店でのイベントなど、ベスパの展示を含めた売り場作りが好評を呼び、様々な商業施設から定期的に出展依頼をいただきました。
少々長くなりましたので、今回はこのあたりで。
このように、ファッション雑貨の企画は、売り場、ブランド、メーカーによっても様々な方法があります。一番良いのは、自社の企画力、商品開発力、資金に合わせた企画方法を確立することです。
良い企画であれば、リリースすればマスコミが取り上げてくれます。それに合わせて色々な取引先も連れて来てくれます。そんな話題性のある商品企画を進めて下さい。
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