第一回 雑貨のMD 「5:ファッション系雑貨の企画」
こんにちは。
今回も引続き「ファッション系雑貨の企画」についてお届けします。
貴方の会社が小売業態なのか、企画卸(企画する商品ごとに工場を探す)なのか、メーカー(工場)なのかというだけでも、それぞれ商品企画の目的が違ってきますね。
今回は古着屋系の雑貨企画、バッグブランドの企画、クリエイター系雑貨の企画、サングラスの企画についてみてみましょう。
【古着屋系の雑貨企画】
若者を中心に、今でも古着の人気は衰えを知りません。
私が高校を卒業した頃(もう30年も前のことですが)は、世の中DCブランド(デザイナーズキャラクターブランド)が流行の中心に上がってきたところでしたが、当時でも代官山のハリウッドランチマーケット(1973年創業)という老舗古着店はファッション雑誌の主役で、アメリカ系の古着、ミリタリー系の古着など、高いDCブランドに手が出ない若者には、一つのカテゴリーとして絶大な人気を集めていました。
そんな古着業界で難しいのは、同じ商品の仕入が困難であるということです。
世の中の要らなくなった服を集めて、その中から選んでくるので、売れたからすぐ追加ということが難しい商材です。
そんなわけで、安定して売上げを上げていくには独自の企画で、取扱う古着に合うような衣料品や雑貨の企画をするところがよくみられます。
ビンテージ風のプリントをほどこしたバンダナ、50’Sや60’Sのモダンなデザインのマグカップや灰皿など、お店の雰囲気に合わせた商品企画です。
商売の基本として良く使われる法則に「2:8の法則」というのがあります。
パレートの法則というのですが(詳しく知りたい方は検索してみて下さい)、小売業では「店頭全体の2割の商品で8割の売上げを上げている」というように解釈されます。
つまり、この2割の売れ筋商品が適時店頭に投入出来なければ、売上げが上がりにくいのです。このため、古着と違い在庫の調整や追加生産がコントロール出来るオリジナル企画の商品で安定した売上げを上げる企画がなされます。
【バッグブランド】
私は、インポーター時代からバッグが好きで、毎年数十社からバッグを買い付けていました。独立後は国内生産でバッグの企画をはじめ、今は固い鞄、つまり中に木枠や芯のあるトランクを専門に企画しています。
そんな事で、色々なバッグメーカーやバッグクリエイター、生産工場などと共同で仕事をしてきました。ここでも、王道というような企画の方法があるわけではありませんが、大切なのは「鞄を通して、何を社会へ伝えたいのか?」ということです。
バッグの企画も様々です。「旅行用鞄」「学童鞄」「ある種のスポーツに特化したバッグ」「カメラバッグやPCバッグなど専門用途のケース」「ビジネスバッグ」「ラグジュアリーブランドバッグ」「特殊素材のバッグ」「カジュアルバッグ」etc・・・
例えば旅行用ケースでも、「お年寄りが運びやすいケース」と謳って、同様な旅行ケースよりもずいぶん割高でも売れているブランドがあります。多少のデコボコ道でもコロコロ転がしやすいようなホイールが付けられ、ジッパーの引手をおおきくしたり、年配者のマーケットに向けた広告がうたれています。
また、私事で恐縮ですが、「宮内庁御用職人によるオーダーメイド革トランク」として『匠乃固鞄』を企画しています。国内に競合がいないため、「欲しいトランクが店頭で見つからず、ネットでようやく見つけました」と、平均単価50万円ほどの鞄に注文が入ります。
バッグに限りませんが、このように何かの特徴を持たせることにより、ターゲットは狭まりますが、他社に比べて競争力を持った商品企画ができます。
製法、素材、デザイン、専門性、ターゲットなど、何を特化させると自社の顧客が喜び、自社のライバルに対し優位な商品開発ができるのか? より社会に貢献出来るのか? を考え、商品企画に取組んで下さい。
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