第一回 雑貨のMD 「7:ブランドの立ち上げ」
こんにちは。
今回は「ブランドの立ち上げ」といことについて考えてみましょう。
【アパレル系ブランド】
街を歩けば様々なブランドのショップが並んでいます。
衣料品主体のショップ、雑貨までトータルコーディネイト出来るショップ、海外の有名ブランド、カジュアル衣料のショップ、スーツ専門店、単品専門店(例えばストレッチパンツ専門など)、いろいろなブランドを並べたセレクトショップ、各種スポーツの専門店、あげればきりがないですね。
ここでは、特に20代の若者向けの衣料品について考えてみましょう。
20代というのは、社会へ出て自分で稼ぎはじめ、結婚前に一番ファッションに気を使い、またお金も使う世代です。
そんな世代なので、競合するブランドも多く、また、次から次へと新しいブランドが誕生してきます。同じように消えていくブランドもたくさんあります。
そんな世代へ向けて、新たにブランド開発をしようと考えると、まず何から始めますか?
では、ちょっと考えてみてください。
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どんな事柄がありましたか?
ここで先ず「マーケティング」という言葉について考えてみます。
企業や非営利組織が行うあらゆる活動のうち、「顧客が真に求める商品やサービスを作り、その情報を届け、顧客がその商品を効果的に得られるようにする活動」の全てを表す概念である。(wikipediaより)
では、それにはどのような活動がともなうかというと、
・ 市場調査(マーケットリサーチ)
・ 商品開発と生産
・ 広告宣伝/広報活動
・ 営業/販売
という一貫した流れで、アパレルの場合は特に迅速に、商品を市場へ届ける必要があります。
アパレル企業がマーケティング活動の一環として新ブランド開発を始めるにあたり、まず取り組むことは「ターゲット設定」ということになります。
「顧客が真に求める」ものを生み出すためには、まずこの「顧客」像を明確にする必要があります。また、先にあげた20代の若者は、特に様々なものや事柄に興味を持っており、それぞれの分野における専門性を追求しはじめる年代ですので、特にこだわった商品開発が求められます。
また、現代は、市場が細分化されていますので、ただ年代だけでの区別は出来ません。「顧客が真に求める商品」を届けるためには、顧客の趣味嗜好、生活様式や習慣、行動範囲、活動時間など、できるだけ詳細に分析する必要があります。
以上を勘案し、導きだされたコンセプトをもとに、商材を決め、価格帯を設定し、生産方法を決め、同時に販売方法や販路を開拓しながら、実際のデザイン→サンプル作成→(必要なら修正を加え)→本生産→市場投入となります。
この「ターゲット設定」と「コンセプト設定」をきちんとすることにより、いつまでもブレのない商品開発、ブランド運営が継続出来ます。
【メーカー系ブランド】
ここでいうメーカーとは、元々何かの生産工場で、下請け生産だけではなく「これからはオリジナル商品を市場へ出していこう」と考えているメーカーということにします。
このような工場でもっとも大切なのは、「同業者と比べて、何か特別な技術や条件があるか?」ということです。
上のような質問をすると、「全くない」と答える経営者が多くおられるのですが、実はよくよく話を聞いてみると、なにがしかきらりと光る部分が出てきます。案外自分では気がつかないことが、他人のフィルターを通すことであぶり出されてきます。
例えば、工場の歴史の中に特記出来ることがないか?
・・・「○○産地の中で真っ先に△△を始めた」とか
使用原材料の中に特別なものはないか?
・・・「純日本産の○○だけを使用している」とか
工場内の設備で誇れるものがないか?
・・・「この機械は100年前から使っている」とか
特技をもった社員がいないか?
・・・「○○コンテストで優勝した社員がデザイン担当」とか
もし、「全くない」という場合でも、何か特徴を作り、それを前面に出して他社との違いや自社の優位な部分(とってもダサいデザインというような部分でも、やり方では武器になります)を際立たせることで、ブランディングを進めることができます。
また、工場の経営者は、経営者自体が技術畑の方が多いためか、なかなか柔軟な発想が出てこないのですが、これまでの商習慣や新しい分野の取引先を作ることで、思わぬ新商品開発となることがあります。
兵庫県に播州織りというワイシャツなどに使われる生地の産地があります。
以前から、国や県などが「産地復活」をかかげ、全国のいろいろな産地に補助金を出して新しい事業立ち上げを進めていますが、そんな中、一人のデザイナーが北陸から播州へやってきました。当初、生地メーカーに入り、オリジナルのシャツブランドを立ち上げていましたが、ビジネスとしてはなかなかうまくいきません。やがて会社を変わり、同地の他メーカーで、今度は播州織りの糸を、様々な染めや織り方を工夫し、独特なストールとして作り始めました。
それがバイヤーの目にとまり、今では全国の百貨店やファッションビルで販売されています。
シャツ生地にこだわっていては思いつかない、撚りを変えたり、染めムラを出したりと、わざと不規則な織り方をすることで産まれた、新しい産地のブランドとなりました。
以上、アパレル系のブランドの立ち上げ方をみてきましたがいかがでしたか?
ではまた来週。
もし、質問やご意見がありましたら、ぜひお聞かせ下さい。
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