第一回 雑貨のMD 「1:はじめに」

 まず簡単に執筆者の自己紹介です。

 

 私は22歳の時に大阪船場のインポーター(婦人服飾雑貨の輸入専業卸)へ入りました。それから27年間、主にファッション業界で仕入れ卸やモノ作り、また、ファッション専門学校講師としてファッションビジネスを教えています。

 私がインポート業界に入って間もなく、日本はバブル景気にわきました。仕入れ先はイタリアを中心としたヨーロッパ各国とアメリカ。商品選択さえ間違えなければ、大体何でも売れた幸せな時代でした。

 バブルが終わり、その後、暗黒の20年に向かうわけですが、段々と卸の業績も悪化してきて、商品の単価も下がり始めます。1995年に国内のアパレルメーカーがSPA型(ファッション商品の企画から生産、販売までの機能を垂直統合したビジネスモデル。日本語では「製造小売業」。始まりはアメリカのGAP)をスタートさせた時から、一気に商品価格が下がり始めました。

 

 そんな中、阪神淡路大震災を機に、翌1996年に独立してピーアールオーとい会社を始めました。32歳の時です。

 

 それまでは海外のメーカーが作った製品を、日本へ持ってきて販売するという仕事をしていましたが、独立後はオリジナル商品作りを始めました。
その時に「長年お世話になった会社の売上げを奪うようなことはしない」と決めたため、販売先もゼロからの開拓です。

 

 資金は国民金融公庫から借り入、全くの手探りで工場を探し、出来た商品を抱えて一件ずつ飛び込みの営業。そんな事をしながら、モノ作り、販売方法、広報の方法、宣伝の方法など身をもって学んできました。

 

 今は 宮内庁御用職人謹製『匠乃トランク』というオリジナルブランドで、有名アーティストや大手アパレルなどから名指しでオーダーメイドトランクの受注を承けています。

これまでの27年間で、私がやって来たこと、考えたこと、学んだことが、少しでも皆さんのお役に立ち、これからのモノ作りの参考になれば幸いです。

 

 では、これから誰に向かってどんな内容を書き進めるのか? ということを説明します。

 

 まず貴方の立ち位置について考えてみて下さい。
雑貨系のモノ作りをする人は「芸術家」「クリエイター」「○○デザイナー」「趣味」「仕事の一環で」と、様々な方がおられます。

 

 その中で、「クリエイター」や「企業内デザイナー」「仕事の一環で」雑貨を作られる方。つまり販売目的にモノ作りする方に向けて、今回は連載を進めていきます。(芸術家やクリエイター、デザイナーの言葉が曖昧ですが、芸術家は主に自分の感性だけで作品作りをする方というニュアンスで、それ以外の販売を目的としたクリエイターやデザイナーと区別しています)

 

 

MDの役割って何?
 

 これからほぼ週刊で、ファッション寄りの雑貨やブランドのMD(マーチャンダイジング)について、仕事の役割を書いていきます。会社内でMDと言えばMDをする人、つまりマーチャンダイザーを差します。

 

では、MDの役割とは何でしょうか?

 

マーチャンダイジング(merchandising)とは、一般的には、消費者の欲求・要求に適う商品を、適切な数量、適切な価格、適切なタイミング等で提供するための企業活動のこと。「商品政策」「商品化計画」。「MD」と略されることもある。(wikipediaより)

 

つまり、自社がターゲットとする市場のニーズを把握し、そこに合う商品やデザイン、供給方法、数量、価格などを決める役割の人がMDさんですね。
会社の売上げの根本を担う大事な役割です。

 

そのMDさんがやらなければならない役割に付いて、

 

1:クリエイターということ
2:ファッション系の雑貨の企画
3:ブランドの立ち上げ
4:マーチャンダイジングシステム
5:MD1 MDのしごと

  MD2 ディレクションのまとめ方
  MD3 クラスター分析
  MD4 ターゲット分析
  MD5 テーマ分析
  MD6 トレンドテーマ分析
  MD7 バイヤーのしごと1
  MD8 バイヤーのしごと2
  MD9 バイヤーのしごと3
6:商品の仕入と取引形態
7:商品開発の方法
8:海外からの仕入
9:オリジナル商品企画1
  オリジナル商品企画2

 

 上記のような内容でMDについて連載します。その後に、

 

 

1:マキシベスパショップVESPINO
2:匠乃トランク
3:大阪天王寺のがま口
4:フラワーポケット
5:Galas ブランド
6:アパレルの商品企画
7:薩摩ボタン
8:輸入卸
9:キャラクタービジネス
10:町工場
11:産地
12:工務店のブランディング

 

 このような内容で、これまで執筆者が携わってきたブランド開発やモノ作りなど、より実践的な内容で書き進めていきます。
全部で70回を超える連載になる予定です。途中、質問に答えたり、イレギュラーな話題を差し込んだりする事もあると思います。
 皆様もぜひ「こんな事を書いて欲しい」といことがあればメール下さい。

 

 では、次週をお楽しみに。

 

 

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